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What's TE27

通(?)の間では、車名ではなく形式で言う人がいます。

確かに「スカイラインに乗っている」と言われても、年式/グレード等詳しく聞かないと分からないが、「PGC-10」と言われれば「44〜45年式のハコスカ4DのGT-R」なんだと分かるので便利かも。

でもマニアしか、分からないけど・・・

そんな表現で言えば「TE27」(ニイナナ)といえば「47〜48年式のトヨタカローラレビン/スプリンタートレノ」の事です。

ではトレノ君の歴史を含めて解説したいと思います。

個人的な知識での記述なので、間違い等あったら指摘してね(^^♪

歴史

大阪にてアジア初の「万博博覧会」(私も行った記憶があります)が開催された1970年、国内ではトヨタ/日産の間で熾烈な争いが繰り広げられていました。

サーキットでは日産スカイライン(S54B)の連勝を阻止すべく、トヨタ1600GTを投入。

それに対して日産からはレーシングカーR380の心臓をベースにした6気等4バルブツインカムのS20を搭載したスカイラインGT−R(PCG-10〜KPGC-10)が破竹の50連勝を飾ろうとしていました。

また市販車でもトヨタカローラvs日産サニーの熾烈なシェア争いが繰り広げられている中、2代目カローラ(形式TE20系)がデビューしました。

この2代目カローラに昭和47年トヨタが誇る量産ツインカムエンジンの2T−Gを搭載し、TE27カローラ レビン&スプリンター トレノがデビューしました。

これが初代レビン/トレノです。

サイズ

当時の大衆車は1000〜1200ccのエンジン搭載が前提でした。

今の車に比べれば、かなりコンパクトです。

 

 

トレノ

( TE27 )

トレノ

( AE86 )

トレノ

(AE111)

ワゴンR

(2WD5F)

全長 mm 3945 4215 4305

3395

全幅 mm 1595 1625 1695

1475

全高 mm 1335 1355 1305

1645

ホイルベース mm 2335 2400 2465

2360

トレッド(前) mm 1270 1355 1480

1295

トレッド(後) mm 1295 1345 1460

1290

車両重量 kg 860 930 1020

810

車両総重量 kg 1135 1205 -

-

乗車定員

最新トレノAE111はなんと車重で+160kg。

当時のスカイライン(GC-10)とそんなに違わないのではないかと思います。

AE86に比べてもかなりコンパクトで、特にホイールベースで−65mm,車重で−70kgはかなりの差だと思います。

また、かみさんの乗っているワゴンRと比べてみると、そんなに差が無い(ホイルベース/トレッドは負けてます・・・)のには、びっくりです。

つまりトレノ君はサイズ的には今の軽自動車とそんなに変わらないようです

エンジン

これがトレノ君のもっとも重要な所です。

車両形式

TE27

AE86

AE111

原動機の形式

2T−G

2T−G改

4A−G

DOHC 4気筒

2バルブ

4バルブ

5バルブ

排気量

cc

1588

1919

1587

燃料の種類

有鉛ハイオク

無鉛ハイオク

ガソリン

無鉛ハイオク

ボア×ストローク

mm

85×70

88.5×78

81×77

圧縮比

9.8

11(?)

9.4

11.0

最大出力/回転

ps/rpm

115/

150(推定)

130/6600

165/7800

最大トルク/回転

kg-m/rpm

14.5/5200

17(希望)

15.2/5200

16.5/5600

気化器

ソレックス40×2

EFI

車重

kg

860

930

1020

パワーウエイトレシオ

kg/ps

7.48

5.73

7.15

6.18

考えたらトレノ君は私にとって始めてのDOHC(ツインカム)エンジン搭載車でした。

ベースのOHVのT型エンジンにヤマハが担当でDOHCヘッドを搭載したのが2T−Gです。

これ以前にもトヨタ2000GT/1600GTにもツインカムエンジンが搭載されていたんですが量産とは言えず、2T−Gがトヨタ初の量産ツインカムエンジンだと言えると思います。

本来はセリカに搭載する為に開発されたエンジンでしたが、これを1サイズ小さいカローラ/スプリンターに押込んでしまったのがレビン/トレノです。

2T−Gのノーマルの115psは今となってはたいした事もありませんが、当時80ps程度の車が支流だった中、かなりの高性能だったはずです。

また特徴的なのが気化器(キャブレター)としてソレックスが純正で採用された事です。

一般的には各気筒への吸気はひとつのキャブレターを通り供給されます。

しかし各気筒ごとに最適な空燃費(空気とガソリンの混合比)があり、また自然吸気(ターボ等の加給器等を搭載していないエンジンです。Natural Aspilation :NAとも言います)の場合、吸入時の抵抗があると効率が良くない等の問題があります。

それらの問題に対して理想的な方法としては、各気筒当りにキャブレターを付けてしまうのがBestです。

つまり4気筒なら各気筒毎にできるだけ真直ぐに吸気口を伸ばし、その先にキャブレターを4機つければ良いのです。

そうすれば空燃比の最適化/吸気抵抗の削減が図れるわけです。

見た目にはソレックスの場合は二つのキャブレターを一体化している為、2機のソレックスキャブレターを搭載しているように見えますが、実際は4機のキャブレターが搭載されているわけです。

 

またソレックスキャブレターのメリットとしては最高出力時/加速時等にそれぞれジェットと言う部品を交換することによって、空然比の微調整をする事ができます。

しかし大きなデメリットもあり各気筒ごとにキャブレターがあるので、それらがスロットルに対して同じように動かなければいけないので、同期調整が必要です。

またエンジンの調子/気温変化(空燃比を決定する空気密度が気温によって変化する)によってキャブレターを最適に調整しないと、逆にまともに走れません

エンジンがさほどハイチューンじゃないので、そんなにはシビアじゃないんですが最近の電子制御のEFI等に比べるとデリケートです。

この辺は後々の楽しみでもあるわけですが・・・

またトレノ君の大きな特徴としては軽量Body+ハイパワーエンジンの組み合わせです。

パワーウエイトレシオ(1馬力辺りの車両重量)では、7.5kg/psと最新のAE111を凌ぎ、私のトレノ君では推定(希望?)5.7kg/psとなり、これはかなりの数字だと思います。

トレノ君も2T−Gが無ければ、ただの大衆車だったわけです。

足回り/駆動系

エンジンは当時画期的だったトレノ君ですが、足回りは・・・かなりプアです。

 

TE27

AE86

AE111

サスペンション

 

ストラット式コイルスプリング

リジットアスクル式

リーフスプリング

リジットアスクル式

4リンクコイルスプリング

ストラット式

コイルスプリング

ブレーキ

 

ディスク

ベンチレーテッドディスク

ドラム

ディスク

ステアリング

ボール&ウォーム

ラック&ピニオン

フロントサスペンションは基本的には86や111と同じのストラット式コイルスプリングです。

リアサスペンションはリジットアスクル+リーフスプリングとなっています。

これはデフギアとドライブシャフトがデフキャリアで一体化しており、これを板バネが支えています

はっきり言ってトラックと同じです。

左右のタイヤがデフキャリアでつながっているため、片側が持ち上がると反対のタイヤに影響が出てしまいます。

同じ頃のスカイラインではリアサスペンションはセミトレーリングアーム式を採用しており、このタイプだとデフギアはボディに固定されタイヤの付いているドライブシャフト部分が左右別体化しており、左右のタイヤがそれぞれ独立して動くことができます。

よく言う独立懸架です。

またこの構造の為スカイラインは車高を落とすとタイヤに大きなネガティブキャンバー出て、通称「八の字」になるわけです。

リジットアクスルはもちろんバネ下重量も重くアライメント変化が大きく、これが欠点なんですが、ベースが大衆車のカローラなので、採用せざる得なかったんだと思います。

軽量ボディ+ハイパワーエンジンなのに足回りはトラック並みのトレノ君だからこそ、じゃじゃ馬的な性格がはっきり出ています。

ブレーキも年代が感じられるんですがフロント:ディスク/リア:ドラムブレーキで、雑誌等見ると怖いくらいブレーキが利かないそうです・・・

しかしこんなトレノ君ですが、実はAE86の足回りが結構流用できるそうです。

私のトレノ君もフロントはAE86のストラット+車高調キットに交換している為、ブレーキはベンチレーテッドになっているので、そんなに怖い思いをしなくてもいいです。

前後とも調整式のダンパーが入っているので、これも楽しみです(^_^)v

外装

TE27のもっとも大きな特徴が外装です。

当時バイアスタイヤが主流だったんですが、レビン/トレノはラジアルタイヤが標準となります。

しかしレース参加(ジムカーナ等)を考えると、標準タイヤよりも太いタイヤを履く必要性があったんですが、オリジナルのカローラのボディでは、はみ出してしまいます。

そこでトヨタは大胆にもオーバーフェンダーを標準装備としてしまいました。

それも現在の洗練されオーバーフェンダーではなく、無骨なフェンダーを前後につけました。

当時オーバーフェンダーを標準で装備していたのはスカイラインGT−Rや三菱ギャランGSR等、限られた車にしか装備されていませんでした。

純正なので、当然おまわりさんに文句を言われる筋合いはありません(^_^)v

トレノ て何?

カローラにはレビン/スプリンターにはトレノと、それぞれの車名が付いています。

レビンLEVINは英語で「雷光」という意味なのは知っていましたが、トレノTRUENOてなんだろう?

よく使うネットの翻訳ページで調べたんですが、出てきません・・・英語じゃないみたいです。

別の翻訳ページで調べてみると、なんとスペイン語でした。意味はやっぱり「霹靂, 雷鳴, 雷, 天雷, ごろごろ」でした。

レビン/トレノとも雷をイメージした車だったようです。これは知らなかった・・・

今回トレノ君入手に伴いトレノの歴史等を調べてみたんですが、今現在トレノは絶版となっていたんですね。

日本の車の歴史の中でもインパクトのある重要な車なんだと、再認識しました。

大事にしないと(^_^)v

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