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ジェットセット奮戦記 

ソレックスキャブレタの構造については大方理解はできたようです。

ここではその理論を元に理想のジェットセットの推論してみたいと思います。

現状把握

まずは今頂いたセッティング情報を元に、考察(結構好きです)します。

★2T-Gノーマルと現状トレノ君のセット

TE-27に搭載のソレックスキャブレタには何種類かあるようですが、その中の3/4型のデータが入手できました。

AJは#150が標準となり、MJが3型#125/4型#135が搭載されています。

PJも3型#55/4型57.5となり、PNは共に#40のようです。

びっくりしたのがOBで3型φ30に対して4型ではφ32が搭載されているようです。

結果的には3型に対して、4型の方がハイチューン向けのようです。

私のトレノ君のソレックスは形的には3型だと思っていましたが、やはりMJ/AJ/PJとも3型の標準と同じです。

しかしPNだけが#55と標準よりも噴出時間が短いセットとなっています???

またOBについては未確認ですが、3型標準のφ30ではないかと推測されます。

後に説明しますが、はっきり言って2LにキャパシティUPしたトレノ君に対しては、役不足のはずです。

★1600ccのベストセッティングは・・・?

今回ノーマル仕様のデータを教えてくれた、札幌のHさんのセットです。

エンジンは1600ccのようで基本的にはノーマルセッティングをベースに手が加わっているようです。

1600ccベースでは良いセッティングじゃないかと思います。

そんな時ヤフオクで”2T-G Tune Upキット”なるものが出店されていました。

結局落札は出来なかったんですが、説明文にてだいたいの仕様が分かりました。

このキットでは大きく変わっているのがOBです。

ーマルのφ30/32に対してφ34に変更するようです。

またこれに伴い、AJはノーマルの#150のままですが、MJが#160と結構大幅に変わっています

つまりOB交換に伴う吸入効率の改善と、それに伴う燃料不足を補う為にMJを変更した訳です。

どこかのショップ製だと思うので、それなりの根拠があるかと思います。

やはりNAエンジンでは吸気効率UPの為のOB交換は効果が大きく、後はこれに伴う燃料不足をMJのUPで補う感じです。

どうやらこの方向が、ベストセットかもしれません。

★2000ccのベストセッティングは・・・?

いよいよ目指す2000ccのセットです。

こちらは鋭く指摘をくれた、山梨のTさんのセットです。

多分ソレックス44φだと思いますがOBがφ41と大幅にUPしており、それに伴いAJ#210/MJ#175とそれなりに番数を上げているようです。

2T-Gも2000ccだと1気筒当り500ccとなり、L型3000と同じようにかなり大きな口径が必要なようです。

本来はこのソレックス44φベースのセットかも知れません。

★トレノ君のセットは・・・?

ここまでのデータでの結論としては、

・現状セットでは完璧に燃料不足である

OB径がぜんぜん小さい

と言うのがはっきりしました(~_~)

本来はソレックス44φ辺りに交換するのが最初ですが、さすがに先立つものが無く(かみさんからの借金もあるし・・・)40φのままでのセッティングで行くしかなさそうです。

○MJ/AJの交換

今のままでは高速域の混合気が不足しているはずなので、苦し紛れにAJ#200/MJ#160に変更しました。

番数決定の根拠は、

・山梨のTさんよりはキャブレタ/OB口径が小さいので、少し薄目

AJ=MJ+40 の公式

・#10番毎に揃える(意外と几帳面・・・)

です。

確認が出来てませんがOBは3型標準のφ30だと思いますが、これはかなりネックとなるとは思いますが、OBの値段も高くすぐに交換と言う訳には行きません。

この状態でテストランです。

<結果>

 

回転数

現状

1st

コメント

低速

〜3000rpm

2000rpmての一定速及びアクセルオフによるマフラー内でアフターファイアーの感じあり。

混合気が濃すぎる感じ・・・

中速

〜5000rpm

大きく問題なし

高速

〜7000rpm

大きく問題なし

超高速

7000rpm〜

×

7000rpm以上は完全に頭打ち・・・

電気系が起因の可能性があるが、現状リミットは7500rpm程度と判断

PJ #60  
AJ #150 #200 変更
MJ #125 #150 変更
PN #55   
OB  
スリーブ  

今までのセットでは高速域での混合気不足の事もあり、あまり回していませんでしたが初めて7500rpmリミットまで回しました。

中〜高速域までフィーリングとしてはさほど問題は無く、逆にいきなりパワーが出るという感じもありません。

リミットについては電気系トラブル(詳しくはこちらへ→)もあり原因ははっきりしませんが、7000rpmを超えた所で明らかな頭打ちを感じます。

エンジン音的にはバルブサージングを起こしている感じではないので、吸排気/電気系が原因と推測されます。

超高速域では、まだまだセッティングが必要な感じです。

また予想外の現象として低速域の不具合があります。

2000rpm程度での一定速での走行時やその時点からのアクセルOFFにてマフラー内でのアフターファイヤー(マフラー内で”ボンボン”との音が発生)が起こっています。

原因としては混合気が濃すぎて不完全燃焼した排気がマフラー内で爆ぜているはずです。

しかし今回セットを変えたメイン系の効果は3000rpmを超えた中速域以上のはずです。

○低速域悪化の推定原因

MJ/AJ交換に伴う低速域の悪化の原因を推測します。

直接原因としては本来2000rpm程度では効果が無いメイン系の変更が低速域に出ている事だと思います。

では何故低速域で効いているのでしょう?

私のトレノ君の場合排気量が1600から2000ccにUPしており、その分あらゆる回転域での吸気量が増えているはずです。

単純に2000/1600で、1.25倍です。

したがって2000rpm時の吸気量は1600ccでは2500rpm時と同じ量のはずです。

その分吸気量が増え、またアウターベンチュリーもφ30と小さい為、流速が上がりやすくなっているはずです。

この異常な流速UPの為、本来2000rpmでは働かないメイン系が働いてしまっているので、混合気が濃すぎるのではないかと推測されます。

またパイロット系とメイン系では混合気の供給量が大幅に違う為、この時メイン系から余分に供給されているとも推測されます。

エンジンとキャブレタ/OB径の不整合は単純な吸気抵抗悪化だけじゃなく、キャブレタ機能のバランス悪化まで起こしてしまう様です。

どうしよう・・・

○低速域悪化の対策

対策の方法を考えます。

1.メイン系のセットを元に戻す

ん〜これを戻せば基本的には低速域の問題には良いんですが、結局高速域の混合気不足の対策が出来ません。

メイン系ジェットを交換すれば低速/高速域で成り立つポイントもあるかも知れませんが、ちょっと難しいかも・・・

2.吸気の流速を落とす

これが本来の対策です。エンジン仕様に合せ適切なキャブレタ/OB口径を選べば良い訳でです。

本来はキャブレタを44φに変えればOKですが、お金もないし・・・

当面はOBを変える方向で検討するのがBetterです。

しかし安いと言えどわざわざ40φのOB交換も、もったいない感じです。

3.吸気効率のダウン

これは私のトレノ君特有の対策ですが、マフラーに付いているアペックスの”エキゾーストECV”を絞ってワザと排気効率を落とします。(実は通勤時の会社や近所の手前もあり、日頃から半分ぐらいに絞っています。)

すると必然的に吸気効率も落ちるようで、ECV全開時に発生する低速域のアフターファイヤーも収まります

もちろんECVを閉じる事により高速域での排気効率が落ちますが、必要な時はレバーにて簡単にECVを全開にする事によって解決できます。

週末まではこれで対応します。

○低速域の悪化の抜本的対策

今日は勢いでキャブレタ本体への対応を行います。

対策内容としては

・アウターベンチュリー径の切削による変更

・スリーブの取外し

です。

どちらも強引な対応ですが(~_~)

本来はキャブレタを外してやる物だと思いますが、毎日の私の足であるトレノ君ではそうは行きません。

強引にクリーナーを取り外し、スリーブ/アウターベンチュリーを取り外します。

さすが4番のキャブレターは大変ですが無事取り外しも完了して、寸法を測定します。

アウターベンチュリーは予想通りφ30でした。

やはりこれが吸気効率に対してかなり足を引っ張っていたはすです。

本来はこれをオプションのφ34当りに変えるのが本当ですが、お金がありません(これは自信があります(^_^)/~)

だったら、これを削れば良い筈です。

知り合いの所に行って、旋盤を借ります

材質はアルミなので簡単に削れます。

削りすぎてもせっかくのベンチュリー効果がなくなってしまうので、当面φ34に削ります

一つ目はさすがに慎重に削り、無事φ34で削り終わりました。

続いて二つ目です。

順調に削っていくと、「おお」削り過ぎたみたいです・・・

測るとφ34.5mmです(~_~)

ええ〜い 全部φ35にしよう・・・

結局一つ目を含めφ35mmで削り終わり、段付きをとる為サンドペーパーにて磨きます。

あまり磨き過ぎると弊害があるので、適当に面を荒らします。

削り終わったアウターベンチュリーを見ると5mm程度ですがかなり大きく感じます。

これで計算上ですが面積比で36%UPしたはずです。

続いてインナーベンチュリーを見ると外側/内側とも鋳造の金型の合わせに段付き/バリがあります。

こちらもブラストでも掛けたいんですが無いので、やすりで落とします

これで+50rpmぐらいはUPするかな(^.^)

いよいよ組み付けです。

アウターベンチュリーは問題なく組立てが出来たんですが、さすがにインナーベンチュリーの組付けには苦労しました。

キャブレタ本体の燃料の通路とベンチュリーの通路がなかなか合わず、一苦労です。

特に4番のキャブレタは外す時にも大変だったので、取付けはまさしく苦痛でした・・・

何とか1時間ぐらい掛けて無事後ほど問題発生!!)出来ました。

普通はこの後スリーブを取付ける訳ですが、これもキャブレタ内径φ40に対してφ38なので抵抗になっているはずです。

取り外します(あっさり)

さすがに朝8時から初めて10時間経過・・・腰に来てますが何とか完了です。

さてテストランです。

○2ndセットは・・・

吸気効率改善が変更点のメインです。

OB      :φ30 → φ35(追加工)

スリーブ:あり →  なし

早速テストランです。

 

回転数

初期

1st

2nd

コメント

低速

〜3000rpm

アクセルオフによるマフラー内でアフターファイアーの感じは若干あるが、ECV全開でも問題なし

中速

〜5000rpm

×

4000rpm以上でまったくふけない・・・

高速

〜7000rpm

×

     同上

超高速

7000rpm〜

×

×

     同上

PJ

#60

 

AJ

#150

#200

 

MJ

#125

#150

 

PN

#55

 

OB

φ30

φ35 ノーマル追加工

スリーブ

φ38

φ40 スリーブ外し

低速域での アフターファイヤーはほぼ収まり、これはスリーブ廃止/OB径拡大が私の理論の”早すぎるメイン系動作”の対策効果が出ているんじゃないかと思います。

続いて中速〜高速域のテストですが、なんと4000rpm以上で、エンジンがばらついてまったくふき上がりません・・・

ん〜なんで??

中速以降はメイン系の領域ですがやはりスリーブ廃止に伴いベンチュリー効果が薄れ、必要な混合気の供給が成されていないのでしょうか?

しかしそれが原因でこんなにはっきりした症状が出るのでしょうか?

辺りは暗くなり始めています。

一旦スリーブを入れようとしてみると4番のキャブレタにスリーブが入りません???

どうやらインナーベンチュリーが正常な位置じゃない所に付いているようです。

つまり4番のみキャブレタが正常に動作していない訳です。

これではふけない訳です。

また30分ぐらいかけインナーベンチュリーを付け直して、再度テストランです。

 

回転数

初期

1st

2nd

2nd’

コメント

低速

〜3000rpm

問題なし

中速

〜5000rpm

×

問題なし

高速

〜7000rpm

×

問題なし

超高速

7000rpm〜

×

×

暗くなってメーターが見えずオーバーレブの可能性があり中止

PJ

#60

 

AJ

#150

#200

 

MJ

#125

#150

 

PN

#55

 

OB

φ30

φ35 φ35 ノーマル追加工

スリーブ

φ38

φ40 φ40 スリーブ外し

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    IB インナーベンチュリー取付け修理

インナーベンチュリー取付け修理によって無事4000rpmでのエンジンのばらつきは収まりました。

7000rpmOverもテストしたかったんですが、暗くなりメーター照明が暗くてオーバーレブしそうなので明日にしました。

★総括

アウターベンチュリー追加工に伴いソレックス40φベースとしてはほぼ限界のはずです。

今後は微妙なジェットセットが必要かと思います。

しかし山梨のTさんのトレノ君はもっと回るようですし、キャブレタセッティングだけではなく全体的なバランスも必要かと思います。

カムカバーの結晶塗装も終わっているので、次回はバルブタイミングに挑戦してみようかと思います。

 

それでは次回をお楽しみに(^_^)/~

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