お盆休みを迎えいよいよバルブタイミングに挑戦です。
結構わずかな変更で効果があるようです。
しかしその前に準備が必要です。
バルブタイミング調整実施に当たり事前準備です。
ピストンの上死点確認や、カムの動作状態の確認の為にはダイヤルゲージが必要です。
以前入手したのがあるので、これを使います。
当然マグネットスタンドや、測定子の延長部なども用意します。
バルブタイミングはクランクの回転角度を測定をします。 そこでクランクプーリー部に角度の表示されたタイミングゲージを取り付け角度を読み取ります。 買っても良いんですが私の場合もちろんエンジンをトレノ君から取り外す訳には行かないので、正面から読み取るタイミングゲージではちょっと作業が難しそうです。
そこでタイミングゲージを自作してみました。 私のトレノ君のプランクプーリーは2段式なので使っていない外側のプーリー外周部に巻き付ける様なゲージを構想しました。 クランクプーリー径はφ120mmなので円周率の3.14を掛けたのが円周です。 この部分にフルスケールで360°のゲージを作ります。 取合えずExcelにて作成し、プリンターで印刷すればOKです。 このままでは紙なので強度がないので、透明のテープを両側に貼り付けてゲージは出来上がりました。 これをクランププーリーの外周に貼り付ければ良さそうです。 簡単に取り付け取り外しが出来るように、もう一工夫です。 両端の部分に輪ゴムを取り付けリング状にしたら、プーリーのベルトの入る所にふすまの隙間風を防止するスポンジテープを貼り付けて完成です。
早速クランププーリーに取り付けるとほぼぴったりの感じです。
これでバルブタイミングが計れそうです。 |
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まずは現状のタイミングの測定です。
手でクランクを回さなければいけないので圧縮を逃がす為にプラグを外し、ヘッドカバーを取り外します。
続いてダイヤルゲージのマグネットスタンドの固定する為の場所を探します。
エンジン本体はほとんどアルミなので、当然マグネットは効きません・・・
結局オイルキャッチタンクのステーをエンジンヘッドに取り付け、ここにマグネットスタンドを取付けます。
まずは上死点の確認です。
取外したプラグ穴からダイヤルゲージの測定子をピストンヘッドに突き当てます。
この状態でクランププーリー固定用のボルトに19mmのラチェットレンチをはめて、時計方向に回します。
かなり手応えがありますが、順調にクランクが回りピストンの上昇にあわせダイヤルゲージの針が振れていきます。
予測通り点火時期確認用のクランププーリーの切り欠け部の位置が上死点のようです。
4ストロークエンジンなので上死点は吸排気/圧縮側の2箇所あり、1気筒目のカムの頂点の位置によってそれぞれ判別できそうです。
カムの頂点位置 | ||
IN側 | EX側 | |
・吸排気上死点: | 時計の 4時頃 | 時計の 8時頃 |
・圧縮上死点 : | 時計の10時頃 | 時計の 2時頃 |
クランク位置を上死点に合せた状態で、ブロックの針と自作したタイミングゲージの0°を合せます。
続いてダイヤルゲージをIN側のバルブリフターに出来るだけ垂直になるようにセットします。
この状態でクランププーリーを回すとカムが回転し、徐々にリフターが沈んで行きます。
最もリフターが沈んだ所が、IN側のタイミングセンターになる訳です。
初めての測定なのでリフターが最も沈んだ位置が解り難いんですが、どうやら95°付近のようです。
同様にEX側のタイミングセンターを確認すると105°付近となりました。
カムの駆動はチェーン駆動なので逆回転にクランクを回してしまうとチェーンが弛んでしまい、正確に測定できないので必ず時計方向にクランクを回して測定しなければいけないそうです。
以上で現状のトレノ君のバルブタイミングが判明しました。
これってどのくらいのセットなんでしょうか?
まずは色々調べた、ノーマルセットのデータです。
ヘッドNo,111-88222 |
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作用角 IN: |
256° | |
EX: | 256° | |
センター IN: | 112° | |
EX: | 112° | |
オーバーラップ: | 32° |
ヘッドの種類によって作用角/タイミングが何種類かあるようですが、こんな感じです。
以前調べたカムの作用角と、今回測定したバルブタイミングの結果からの現状のセットです。
ヘッドNo,111-88222 |
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作用角 IN: |
304° | |
EX: | 288° | |
センター IN: | 95° | |
EX: | 105° | |
オーバーラップ: | 96° |
Clubの方たちのHPを参考にさせてもらうと、かなりきわどいセットのようです。
特にIN側の95°はレース仕様のようで、もう少し大きい方が良いようです。
上記セットを元に始めてのタイミング調整に入ります。
最適セットは色々な条件の最適値の組合せによって成り立っていると思います。
多分バルブタイミングの最適ポイントに合ったキャブレタセットや点火時期との組合せがあるはず。
そこでちょっと無謀なんですが駄目なセットだったら、バルブタイミング変更の変化が体感しやすいのではないかと思います。
そこでまずはこの辺のセットを試してみようかと思います。
ヘッドNo,111-88222 |
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作用角 IN: |
304° | |
EX: | 288° | |
センター IN: | 90° | |
EX: | 100° | |
オーバーラップ: | 106° |
IN/EX共に 5°UPし、オーバーラップを106°付近に合わせようかと思います。
かなり(無茶な)高回転仕様です。
このセットなら低回転「スカスカ」、高回転「ビンビン」が体感できるかと決定しました。
いよいよ目標のセットも決まり、バルブタイミングの変更です。
同時に以前ヤフオクにて購入した8穴タイプのカムスプロケットへの交換も実施します。
調整するに当たって初期の穴位置が重要です。
現状のトレノ君の穴位置を確認しておき、その位置よりどの穴に変更するかによってタイミング変化量を把握します。
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クランク 角度 |
スプロケット 角度 |
初期穴位置 IN : C番 EX: C番 |
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@ |
0.14° |
0.38° |
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A |
1.50° |
3.00° |
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B |
2.21° |
4.42° |
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C |
3.25° |
6.49° |
||
D |
4.24° |
8.48° |
||
E |
5.18° |
10.37° |
||
F |
6.35° |
12.69° |
||
G |
6.87° |
13.74° |
ABCDが純正穴なので、3つ目の穴を使用しています。
このデータを元に目的とするタイミングに変更します。
現状に対して5°ほどバルブが開くタイミングを早めたいと思います。
現状C穴に対してF穴に変更です。
C穴 3.25° - F穴 6.35° = 3°
ちょっと足りない気がしますが、この辺に合わせようと思います。
こちらは現状に対して5°ほど閉じるタイミングを遅らせます。
現状のC穴に対してA穴に変更です。
C穴 3.25° - A穴 1.50° = 1.75°
IN/EX共に目標の5°に対して少なめですが、初めてなのでこの辺にあわせます。
いよいよバルブタイミング調整の実践です。
まずはカムとカムの間にチェーンガイドがあるので取り外します。
続いてスプロケット固定用のボルトを外してノーマルのスプロケットから8穴のスプロケットへの交換です。
IN側のカムの下にはチェーンテンショナーがあって、チェーンが引っ張られるのでドライバーにてテンショナーを押さえながら、取り付けます。
まずノーマルのC穴に合わせて取付けます。
この状態でもう一度タイミングを測定しますが、ほぼノーマルスプロケットと同じ値です。
もう一度ボルトを緩めスプロケット位置を変えます。
IN側はC→F穴に変更です。
このままでは穴位置が3°ほどずれているのでスプロケットの取り付きません。
カムをモンキーにて少し回します。
これで無事スプロケット取付けが出来ました。
・・・と、簡単に書いていますが実はここまで結構大変でした。
当然穴位置変更に伴いチェーンとスプロケットの歯をずらす訳なんですが、やっているうちに頭がこんがらがって来て実際にはスプロケット取付け/取外し〜タイミング確認を5回は繰り返しました・・・
何はともあれ目的のタイミングに合わせる事が出来ました。
次はEX側です。
こちらはC→A穴への変更です。
EX側はブロック側にチェーンガイドがあってスプロケットが外しづらいんですが、無事調整完了です。
ん〜 フィーリングはどうかな・・・?
カムカバー/プラグ等元に戻して、緊張のクランキングです・・・「ぐお〜」無事エンジン始動です。
アイドリングから軽くレーシングさせると問題なく吹き上がります(^_^)/~
早速 1回目のシェイクダウンです。
アイドリング付近からクラッチをつなげ、走り出します。
以前に対して若干低回転の吹き上がりが重たい感じですが、そのまま5→6→7000rpmと回転を上げていきます。
逆に6000rpmを超えた辺りの吹き上がりは軽い感じです。
ん〜 予測通りのフィーリングです。
しかし低回転/高回転ほど劇的に変化する感じではありません。
いきなり8000rpm overと言う感じではないのが残念です。
しかしエンジン全体のフィーリングは変わったんじゃないかと思います。
バルブタイミング変更の効果を確認しようとIN側だけ初期のCに戻して見ます。
やはり何回かのスプロケットの取付け/取外しを行って無事C穴に戻す事が出来ました。
カムカバー等も取付けエンジン再始動です。
問題なく掛かったエンジンですがキャブのアイドル調整を行っていると、いきなり「ストン」と止まります。
「あれ そんなに絞ったつもりも無いのにな?」と思い、クランキングをしますが一向にエンジンが掛かりません。
クランク音もかなり軽い感じです。
???まさか調整したタイミングが違っていたのかと慌てて、カムカバーを外します。
タイミングを確認しようとクランクを回すと「え〜〜〜」、IN側のカムが回りません。
ボルトを緩めようと思うと簡単に緩んでしまいます・・・どうやらタイミングの確認の後の本締めを忘れてしまったようです。
さすがにバルブタイミング確認〜調整を真夏の炎天下(マンションの駐車場・・・暑い)2日間掛け、私にも疲労が溜まって集中力が途切れていたのかも・・・
仮締めしたボルトが緩みノックピンを押さえていたプレートがずれ、ノックピンが飛んでしまったようです。
幸いエンジンが止まった時に異音が出ていないので、バルブの接触や飛んだピンがチェーンスプロケットに挟まる事無くエンジンその物には大きなダメージは無かったようです。
オイルパンに落ちたピンは心配ですが、サイズ的にオイルポンプに吸い込まれる事は無いだろうとの判断しました。(ほんとかな・・・?)
一旦実家に向かい予備エンジンから、ノックピンを外して持ってきます。
今日の作業は朝7時から始め、今は午後5時です。
明日にしよかとも思ったんですが、取合えず初期位置への変更までやろうと作業を続けます。
しかし疲労の溜まった私の脳は、もはや機能していなかったようです・・・
大幅にずれたIN側のカムを合わせている内に、大混乱 ♂♀くコ:彡☆彡!?↑←↗↙
一旦調整をしタイミング確認をしようとクランクをレンチで回しますが、何故か途中で止まって回せません。
逆周りにも回す事が出来ず、途方に暮れてしまいます。
この段階で私の脳の機能は完全に停止していました。
動かないだったらセルモーターで回そう!!
ほぼ無意識にセルモーターをON・・・エンジンから「パキン パキン」と異音が(-_-;)
我に帰ってカムの位置を確認してみると、IN側のカムがとんでもない位置にいます。
どうたらIN側のカムを間違った位置に合わせたの為に、INとEXバルブが接触してしまったようです。
ん〜〜〜 悩んでいても仕方がありません、もう一度位置調整です。
しかし大幅に位置のずれたIN側のカムを合わせるのは一苦労です。
仕方なくIN側のカムを固定してあるカムホルダーを一旦外して位置を合わせます。
カムホルダー固定には本来は締付けトルク規定があるはずですがもちろんトルクレンチなんて持っている筈も無く、取合えず出来るだけ均等に締付けます。
おかげで無事初期位置への調整/確認が出来ました。
今度はしっかりスプロケットのボルトも締付けます。
カムカバー等も元に戻し、エンジンを掛けます。
ちょっと長めのクランキングですが無事エンジン起動です。
しかしエンジンからは大きな異音が・・・どうやらバルブクリアランスが狂いタペット音が出ているようです。
一旦緩めたIN側のカムホルダーの締付けトルク不足のようです。
またまたカムカバーを外し、やっぱりトルクレンチが無いので出来るだけ均等に増締めです。
再度エンジン始動・・・かなりタペット音が減りましたが元には戻ってくれません。
しかも音の出どころを確認すると、EX側からもタペット音が出ている感じです?
また低回転にてエンジンの回り方もおかしな感じで、どうも1気筒爆ぜていない感じです。
ちょっと無茶ですがそのまま辺りを走るとある程度回せば回りますが、明らかにエンジンが重い感じです。
ん〜 どうやら取り返しの付かないミスをしてしまったようです。
バルブタイミング調整はすでに3日目に突入。
昨日とんでもないミスの為エンジン不調に陥ってしまったトレノ君ですが原因の追究と対策の実施です。
エンジンを掛けると昨日と同様に大きなタペット音と低回転の不調はそのままです。
取り合えずカムホルダーを増締めしますが多少タペット音が治まりましたが、低回転の不調はそのままです。
ん〜〜 ここでGIVE UP!!
地元Uさんならトルクレンチを持っているかと、TELします。
残念ながらUさんも友人に借用中の為、小さ目のトルクレンチは無いとの事です・・・
また幸いUさんもお休みとの事で、お邪魔させてもらいました。
何とかUさんの所まで辿り着き早速アドバイスをもらいます。
タペット音の件は明らかにカムホルダーの締付けトルクが不適切な為に発生しているとの事です。
しかし緩めていないEX側からもタペット音が出ているのがおかしいし、何よりも低回転のエンジン不調はカムホルダーのせいではないはずです。
やはり間違った位置にて調整したIN側のカムの為、IN/EXバルブの接触が原因の可能性が高いとの事です。
最悪バルブの変形/曲がりが発生しているとの事です・・・
特にEXに対してIN側のバルブは柔らかく、簡単に曲がってしまうそうです。
ん〜やはり取り返しの付かないミスだったようです。
話しをしているとエンジンも若干冷えてきて、タペット音の原因追求の為バルブクリアランスを見てもらいます。
1/2気筒は若干広めですが0.35mm程度と、一応規定内のようです。
3気筒目を測定してみると「あれ〜」かなり広めです・・・
なんと0.7mmのシックネスゲージがIN/EX側共に入ってしまいます(-_-;)(-_-;)(-_-;)
4気筒目も問題なさそうで、結局3気筒のIN/EX側のバルブクリアランスが大幅に異常です。
クランクをレンチで回して圧縮具合を確認してみると、明らかに3気筒目の圧縮が弱そうです。
どうやらIN/EXバルブがぶつかった時に変形/曲がりが発生し、スプリングにて戻りきれないようです。
こうなるとヘッドを剥ぐって見ないと本当の原因は分かりませんが、内部に問題があるのは確実です。
連休最終日を残し、最後の判断です。
素直に修理を依頼すれば良いんですが、折角ここまで自分でいじって来たので意地もあります。
ヘッドを剥ぐろう!!
現在トレノ君はヘッドが剥ぐられ、完全に沈黙しています。
何時になったら復活するんでしょうか・・・
皆さん こんな私に、愛のアドバイスをお願いします。
分解〜組立て、その他ポイント等あれば宜しくお願いします。