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第9話 バルブタイミングの実践3

第8話にてまとめた二次関数バルブタイミング確認ですが、実際の方法等をまとめてみようかと思います。

復習

第8話の結果をもう一度復習してみます。

EX側のバルブタイミンググラフとバルブ開度&クランク角の絵をまとめて見ます。

 

【最大リフト前90° 】 【最大リフト前45°】  【最大リフト点】    【最大リフト後45°】 【最大リフト後90°】

【最大リフト前90°】

EX側の最大リフト点は100°前後の為、クランク角190°ぐらいの位置です。

ちょうど下死点辺りだと思います。

カムはリフターを押している途中でちょうど絵の辺りだと思います。

したがってリフターに当てたダイヤルゲージの値がまだ大きい値で、ちょうどグラフの左端の最大点辺りです。

【最大リフト前45°】

そのままクランクを45°回します。

カムの回転角はクランクの半分なので、カムは22.5°回転して、だいぶリフターを押しています。

したがってグラフの値は下がってきた訳です。

しかしまだ最大リフト点の前なので、グラフの下がってきた途中ぐらいです。

【最大リフト点】

またまたクランクを45°回して、クランク角100°付近に持ってきます。

この状態がカムが最もリフターを押している状態です。

したがってダイヤルゲージの値も最も小さくなり、グラフの頂点付近になる訳です。

しかしグラフを見ても分るようにカムの頂点付近は比較的なだらかで、この為本当の最大点を1°レベルでの判別が難しい訳です。

【最大リフト後45°】

続けてクランクを45°回すと最大リフト点を通過した為に、今度はリフターが元に戻り始めます。

するとリフターに当てていたダイヤルゲージの値が上がってきます。

これがClose側になる訳です。

クランク角度的には最大リフト点前45°と同じなんですが、実際にはカムのプロファイル(形状)がOpenとCloseとでは違うのでリフト量の値も違います。

グラフのピンクの曲線状に乗っている筈です。

【最大リフト後90°】

もう45°回すとますますリフターは戻ってきてダイヤルゲージの値は上がってきます。

クランク角度で10°付近なのでほぼピストンの上死点辺りのはずです。

ここまで来るとOpen側とのカムのプロファイルの差がはっきりしてきます。

 

このようにクランクを回す事によってカムによってリフターの押し込み量をクランク角度を5〜10°毎にデータを取る事によってグラフを作成。

そのグラフの計算式より最大リフト点のクランク角度を導き出す訳です。

Excelシートの使い方

それでは実際にExcelのシートを使ってバルブタイミングの確認をして見ます。

汎用性のある「バルブタイミング確認シート Ver.1 」を開きます。

○データのリセット

まずは今あるデータはダミーなのでこれをリセットします。

クランク角度/リフト量のOPEN,CLOSEのデータを消してしまいます。

するとデータにリンクしたグラフの消えてしまいます。

本当はグラフにリンクしてa,b,c/A,B,Cのセルも変化するようにしたいんですが、これはちょっと難しくて出来ませんでした。

その値はデータ入力後にグラフの値から後から入力します。

○クランク角度の入力

続いてデータを取るクランク角度の入力を行います。

今回はEX側のデータを取る事にするので、最大リフト点100°に対して5°刻みで入力して置きます。

するとグラフの横軸にクランク角度が表示されます。

○データ入力開始

いよいよデータ取りを始めます。

クランクに角度ゲージを取付けて、リフターにダイヤルゲージをセットします。

特にダイヤルゲージの場合は1回転で1mmぐらい(だったかな・・・?夜中なので未確認)なので測定中に何回も回ってしますので、ダイヤルゲージのサブの針を確認しながら値を読み取ります。

本当はデジタルタイプのダイヤルゲージかハイトゲージがあると便利なんですけどね・・・

何はともあれクランク角度170°の値を読み取り、シートのOPENの欄に入力します。

私のトレノ君の場合は2.99mmなので1000倍してミクロン表示で2990を入力します。

するとグラフの-170°の所に点が1つ入力されます。

しかしまだデータが1つしかない為に近似曲線やグラフの数式は表示されません。

○データ入力の継続

続いてクランクを回して-160°に合わせます。

「お〜っ」クランクを回しすぎてしまいしました・・・-163°になってしまいました。

しかし気にせずにその状態のダイヤルゲージの値を入力します。

もちろんそのデータは-165°では無く、-163°のデーターなので、クランク角度のデータも書き換えます。

2つ目のデータが入力されると近似曲線とグラフの数式が表示されます。

しかしこの状態ではまだ一次関数(y=ax+b)の値となります。

○データ入力の継続2

こんな感じでクランク少しづつ回しながら、その時のクランク角度とダイヤルゲージの値を入力していきます。

決して5°毎にこだわる必要はありません。

3つ目以降のデータを入力すると二次関数のグラフらしくなってきます。

より細かなクランク角度でデータを取ったほうが一つ一つのデータの誤差が補正できますが、この辺はフィーリングで良いと思います。

○データ入力完了

EX側の場合でしたらクランク角度-30度付近までで良いと思います。

データ入力完了です。

-65°以降の余ったクランク角度は消してもOKです。

これだけでも十分精度の高いリフト点だと思いますが、カムのプロファイルが違うのは分っているので、リフト量をOPENとCLOSEに分けてより精度をUPさせます。

○OPENとCLOSEにデータを分ける

振り分け方は最大リフト点(この場合は102°)を中心に適当にオーバーラップさせます。

この辺は後から説明する数式の入力結果から見直しても良いかも知れません。

なんとなくOPEN/CLOSEのデータがそれぞれの近似曲線状に乗っていれば良いんじゃないかと思います。

これでグラフは完成です。

続いてグラフの結果から最大リフト点/最大リフト交点の算出を行います。

○最大リフト点/最大リフト交点算出

いよいよ最終目的の最大リフト点の算出を行います。

グラフの下の計算式はOPEN/CLOSEのそれぞれの近似曲線の数式です。

        y=ax2+bx+c

それぞれのa,b,cの値を下のセルに入力します。

OPEN/CLOSE側の最大リフト点とそれらが交差する最大リフト交点の値が自動的に表示されます。

これでEX側のバルブタイミングが算出できた訳です。

 

文章に書くと結構大変な様に見えますが最大リフト点を探す為に、何回かクランクを回す必要も無いので比較的簡単です。

データ取り時も5°刻みもあまり神経質になる必要も無いと思います。

唯一大変なのはダイヤルゲージの値の読み間違いです。

クランク角度が最大点から離れているといきなり一回り以上動いてしまい、グラフの表示がおかしくなります。

こんな感じです。

しかしノートパソコンでその場でデータを入力していれば、すぐに分り修正も可能です。

 

出来れば皆さん試してみてくださいね(^_^)/~

 

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