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第10話 空燃比の話し

ガスケット交換にて出てきたカム疑惑ですが、作用角/リフト量/タイミングの実測をしなければ分からないようです。

しかし何の数字も分からずにトライするのは、大胆な割に臆病私は躊躇してしまいます

さすがに市場に出回った絶対数の少ないS20のこの手のデーターはネットで探しても皆無に近い状態ですが、唯一ヒ ットしたのが”トッチー”さんのブログでした。

これをページを参考にカム疑惑の解決をしようと思いましたが、その中の空燃比/パワーのグラフで面白い傾向が読み取れました。

今回はこれを使って、空燃比のお話しをしたいと思います。

○空燃比ってなに?

エンジンには当然燃料が必要になります。

しかし燃料だけがあれば良い訳ではなく、もう一つ重要な物があります。

空気、特に空気に含まれる酸素が必要です。

酸素に燃料を混ぜた状態の混合気を作り、これを燃焼〜爆発をさせて力を出している訳です。

この空気と燃料の混合比率”空燃比”と言います。

空燃比 = 空気重量 ÷ 燃料重量

この空燃比ですが適切な値があるようです。

私もジッポーを愛用しているんですが燃料を入れた直後ですが、逆に火がつきにくい時があります。

この状態は燃料が濃すぎて、燃焼しにくい状態な訳です。

使用する燃料やエンジンの状態によって違うようですが、ガソリンエンジンの場合14.7が最適なようです。

この空燃比を”理論空然比(ストイキオメトリー)”と言います。

過不足なく燃焼するともちろんパワーも出るんですが、何よりも排気ガスに含まれる有害物質を触媒にて効率良く処理するためもあります。

この”ストイキ”に対して濃い状態を”リッチ”、薄い場合を”リーン”と言います。

最近の燃費の良いエンジンをリーンバーン(薄い混合気での燃焼)エンジンと言いますが、この為です。

○実際の空然比は?

理論的には14.7の空燃比が良いんですが、実際にはエンジンの状態によっては空燃比を変える必要があります。

・エンジン始動(冷間)時

昔の車には当り前のようにエンジン始動時にはチョークを引く必要がありました。

つまりチョークを引く事によって一時的に混合気を濃くしている訳です。

理由としては始動時はエンジンその物が冷えていて霧化した燃料がインテークマニホールドの内側に付着してしまい、エンジン内に入る混合気が薄くなってしまう為です。

トレノ君の2T-Gのマニフォールドを外した時に冷却水が漏れちゃったのも、この対策として冷却水をマニホールドに循環させて暖めていたんですね。

冷間時の空燃比としては5.0辺りのようです。

・アイドリング/低速時

アイドリング/低速時には回転数が低く吸気/排気力とも弱い状態で燃焼室内の混合気が残留する為に、薄目となってしまうようです。

そこで安定して回転させる為に空燃比を濃い目にする必要があります。

アイドリング/低速時の空燃比としては12.0辺りのようです。

・低負荷時

中/高速時の負荷が少ない時には地球環境の為(というか今は燃費良くする為)比較的薄めの空燃比が望まれます。

 負荷の大小にもよりますが空燃比としては14.0〜17.0辺りが良いみたいです。

・全開/高負荷時

全開/高負荷等のパワーが必要な時には空燃比を濃い目にする必要があります。

特に高回転時には混合気の燃焼が間に合わず、結果としてアフターファイヤーを発生させてしまう為です。

また熱の問題もあり、燃料で熱を冷ます目的もあります。

通常は燃焼室内の熱はシリンダー/ヘッド/バルブシート等から逃がして冷却していますが、高回転/ 負荷になるとこれが間に合わないくなり結果的にピストン/バルブの溶損を起こしてしまいます。

空燃比を濃くする事により燃焼速度が速くなったり、燃焼室内の温度が下げられる訳です。

もちろんその分排気ガスが汚れてしまうんですがね。

全開/高負荷時の空燃比としては13.0程度が良いようです。

・加速時

アクセルONに伴い空気量は増大しますが燃料のほうは質量が大きい為に増加が間に合わず一時的に薄くなってしまいます。

その為に一時的に空燃比を濃くする必要があります。

加速時の空燃比としては8.0辺りです。

それぞれの状態に対しての最適空燃比のイメージ図を作成してみました。

○空燃比モニターの効果

それでは具体的な空燃比モニターの効果です。

貴重なS20エンジンの空燃比/パワーデータです。

ピークパワーも167ps程度出ており、かなり良い状態のエンジンのようです。

グラフですが左側に回転数に対しての空燃比右側がパワーで、理論空燃比の14.7の部分に赤線を追加しました。

多分ある程度の負荷をかけた状態かと思いますが、回転数の変化に伴い空燃比が11〜16辺りまで変化しています。

右側のパワーグラフを見ると回転数の各所で一時的なパワーダウンを起こしています。(ピンクの線 の所です。)

グラフを見ると、その回転数の空燃比がリッチになっている部分と合致します。

つまり空燃比がリッチになってしまっている為に、パワーダウンを起こしているようです。

もちろんパワーに影響するファクターはほかにもありますが、今回の空燃比との相関性は非常に高いように思えます。

パワーダウンは10%程度なので私ではとても体感は出来ませんが、空燃比をモニターする事が出来ればパワーダウンを予測する事が出来るかと思います。

実際ネット等でも一般的にその様な判断が当たり前のようです。

ん〜 理論通りで数字好きの私としては、とても楽しい検証でした。

○空然比てどうやって調べるの?

それでは実際に空燃比はどのようにモニターするのでしょう?

てっきり吸気する混合気の濃さを実際に測定していると思っていたんですが、実は排気側を調べているようです。

排気側に取付けられたO2(酸素)センサーにて測定しているようです。

どうやら燃焼によって酸素量が変化するので、これを検出して算出しているようです。

具体的にはO2センサーに触れた排気ガス大気との酸素量の違いにより起電力が発生し、その値にて空燃比を導き出しています。

しかしセンサーにも欠点もあり出力が理想空燃比を境に急激に変化してしまう為、空燃比の値の計測にはちょっと使いにくいようです。

また温度によって特性が変化してしまう等の問題があり、ヒーターによる過熱等も必要になります。

これらセンサーは一般的にはナローセンサーと呼ばれているようです。

それに対して空燃比全域に対して安定化するために改善されたのが、ワイドバンドセンサーと呼ばれています。

ヒーターをコントロールして排気温度の影響されず、安定した空燃比の測定が可能なようです。

このO2センサーからの出力をメーターにて表示しているのが空燃比メーターです。

最近は電子業界が進歩しておりシリアル出力を持ったメーターもあり、パソコンにデータを取込む事も出来るようです。

値段も当初は非常に高価な物だったようですが、最近はだいぶ値段が下がったようで3〜4万円程度で入手できるようです。

とは言っても高いですね(^_^)

○空燃比計のメリット

空燃比計があればソレックスキャブレタのセッティングも効率よく出来るのかも知れません。

取合えず、机上の空論ですが…

・スロー調整

ソレックスのスローはパイロットジェット選定とスクリュー調整です。

一般的にはアイドリング状態でスロースクリューを回転させて最も回転数が上がる所に調整します。

この最も回転数が上がる所がアイドリング時の最適空燃比の12.0辺りのはずです。

またジェット選定が不適切ではスクリュー調整範囲でこの数字にならないので、ジェット番数の判定も出来るんじゃないかと思います。

・ポンプノズル選定/レバー調整

ソレックスの場合加速時の不足する燃料補充はポンプノズルにて実施しています。

回転数/負荷によって条件が変わるかも知れませんが加速時の最適空燃比の8.0辺りのなるように 、選定/調整をすれば良いかも知れません。

・メイン/エアジェット,アウターベンチュリー選定

ソレックスの中〜高速時の空燃比のベースはメイン/エアジェットです。

これを調整する事によって空燃比を調整できるはずです。

またこれに加味しなければいけないのは、キャブレタ内部の流速です。

理論的には空気に対して燃料の質量が大きく、流速によってシリンダー内の空燃比変化を起こすはずです。

キャブレタ/アウターベンチュリーの口径設定によっては、この流速による空燃比変化が大きくなってしまうかも知れません。

回転数/負荷等の要因を変化させて、最適空燃比を目指す必要があるかと思います。

・キャブレタバランス

空燃比メーターの精度/レスポンスにもよりますが空燃比によってキャブレタのバランスのずれが検出できれば良いんですが…

各気筒の排気直後にセンサーをつければもちろんバランス判定も可能かと思いますが、6個のセンサーをつけるのは現実的ではないかも知れません。

今回の為にネットで空燃比の件を調べてみたんですが、最近のエンジンチューニングでは空燃比モニターは当り前のようです。

空燃比データを元に燃料/点火マップの最適化をはかり、安定したハイパワー消燃費を実現できるようです。

是非家のハコスカ君のチューニング用にGETしたい部品です。

でも高い…

誰か中古で良いので、譲ってくれません…?

 

 

 

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