エンジンパワーに対してバルブの開閉のタイミングは非常に影響を与えます。
ハコスカ君のS20エンジンのバルブタイミングの最適化を考察してみます。
NOBUさんがより家のハコスカ君の仕様に近いパワーカーブデータを開示してくれました。
パワーカーブを並べてみます。
ん〜かなりカーブの傾向が違うように見えます。
相変わらずピークパワーについてはかなりの差がありますが逆に中低回転領域では家のハコスカ君のほうが上回っているようです。
測定したダイナモが違うので一概に比べられませんが明らかにエンジン仕様の違いがデータに出ているように見えます。
NOBUさんの仕様では6000rpmまではかなり細いトルクですがこれを超えた領域から8000rpmまで一気に吹き上がります。
ピークパワーの違いは有りますが先日の260馬力仕様と同じ様なカーブです。
それに対して私のデータは3000rpm辺りでほぼMAX程度のトルクを発生しており、そこからフラットなトルク特性になっていますが7000rpm以上は明らかなカーブの乱れが発生しています。
実際の家のハコスカ君の現状ですが非常に乗り易いように感じます。
街乗りで40km/h5速/回転数わずか2000rpm未満の状態からアクセルを開ければスムーズに加速してくれます。
友人のハコスカL20+SUツインと乗り比べても低中速域のトルクは上回っているように感じます。
しかし確かに高回転域でのパワーの盛り上がり感が少ない感じです。
2つのデータを並べてみると本当に同じS20エンジンとは思えないほどの性格の違いがデータから読み取れます。
エンジンパワーに影響する要因は多々ありますが、この辺のエンジンの性格に大きな影響を与えるのはカムシャフトのようです。
家のハコスカ君ですがノーマルに比べればリフト量の大きい加工カムを搭載しているようですが、どうやらこのカムがまだまだしっかり働いていないのではと思います。
単純にリフト量の大きいカムを入れれば、即パワーが出る訳ではありません。
リフト量は当然ですがバルブを開いている時間を決める作用角や、バルブを開閉するバルブタイミング等によってその効果は大きく違ってきます。
より大きなリフト量/作用角を与えられるとバルブをより多く開ける事ができ、クランク角に対してより広いタイミングで開ける事により吸排気効率を上げる事ができる訳です。
しかし闇雲に開けてしまうと今度は圧縮が漏れてしまいパワーダウンを引き起こしてしまいます。
従ってこのカムの仕様を最適値に設定する必要がありますが、これがまたもや回転数によって変化してしまいます。
当然吸排気にも時間が掛かり低回転で最適のタイミングでバルブを開閉しても、同じタイミングでは高回転では間に合わなくなってしまうのです。
従ってどの回転域で最適タイミングを設定するのかが重要になってきます。
おのずとより高い回転域で最適化した方がパワーが出るので優先としちゃいますが、当然低回転領域タイミングがずれてしまいパワーダウンを起してしまう訳です。
そんな理論を理解してもう一度データを見てみると明らかにNOBUさんのは高/低回転域のパワー差が大きく、これがカムシャフトの設定が高回転領域で最適に設定されている証だと思います。
多分実際に乗った場合若干の低回転のもたつき感はあるかも知れませんが回転毎のパワー変化が大きい為、体感的にはかなり気持ち良く回るんでしょうね。
よく言う”カムの乗る”って言う表現です。
それに対して私のは低回転(ノーマル?)での設定に留まっている為トルク変化が少なく、お楽しみの高回転領域での伸びが少なく盛り上がりに欠けるのかも知れません。
ん〜 でもこの辺が難しい所です。
確かにピークパワーを追求するんでしたら高回転領域でのタイミングを優先に考えるのが当り前ですが、当然弊害としては低中回転領域のパワーダウンや燃費の悪化等が出てきます。
サーキット走行がメインでしたら高回転領域を常用しますのでこの弊害はさほど気になりませんが、我家のハコスカ君の場合は毎日の足なのでここまで追及しちゃって良いのかとの疑問はあります。
つまりストリート仕様としては現状設定の方がベストなのかも知れません。
2000〜6000rpm領域のフラットなトルクのおかげで何処からアクセルを開けても加速してくれるので実際には壊れなくて早いのかも知れません。
しかしどうしても欲が出てきてしまいます…
S20の血統を考えると多少乗り難くても目の覚めるような吹き上がりを体験してみたくもなります。
ハコスカ君は”羊の皮を被った狼”であって欲しいと思っちゃいます。
カムシャフト周辺の実測を実施する事にします。
それに際して事前にわかる範疇でデータを集めてみます。
品名 | 品 番 | 作 用 角 | バルブリフト | |
ハコスカ君カム | ? | ? | ? | |
標準カム | 13020 A0201 | 250° | 8.0mm | |
Optカム 8Hカム | 13020 A0220 | 310° | 9.5mm | |
8Lカム | - | 300° | 10.0mm | |
8Kカム | - | 10.5mm | ||
8Mカム | - | 290° | ||
8Wカム | - | 9.0mm |
レースマニュアルによるとレース用Optカム(8Hカム)が当時用意されているようです。
作用角は標準の250°に対して310°と開き始め/終りのタイミングとして+30°となっているようです。
かなりの作用角です。
リフト量についてもOptカムは1.5mmほど増加されていました。
NOBUさんやネットからの情報ではそれ以外にも数種類の作用角/リフト量を持ったカムが存在しているようです。
最近ではNC加工機も一般的になりショップ等では作用角/リフト量を指定して新規製作も可能なようです。
これら情報に対して実際にハコスカ君に搭載されているカムを実測すれば自ずとハコスカ君の性格が判明してくると思います。
バルブタイミングの詳細はDeepな部屋を参考にして頂きたいので、ここでは簡単に説明します。
4ストロークエンジンでは吸気⇒圧縮⇒爆発⇒排気の4つの工程のをクランク2回転で実行します。
その際に吸気/排気は1回しか行わないのでカムシャフトは1回転しか回らないんです。
実はカムシャフトはクランクの1/2で回っています。
この辺を考えながら実際のエンジンの回転で説明します。
圧縮上死点でプラグにて点火され爆発が始まり、ピストンが下降するに従ってクランクを回転させます。
爆発下死点以降はピストンは上昇を始めて次工程の排気が始まるので排気バルブが開き始めます。
ピストンが排気上死点の時点ですでにクランクは1回転しています。
引き続き吸気工程に入りますので今度は吸気バルブを開きます。
ピストン下降に伴い吸気された混合気は吸気下死点以降は圧縮工程に入り圧縮上死点で点火⇒爆発となりこれでクランク2回転となり4ストロークエンジンとしての4つの工程が終わる訳です。
結構この動きがしっかり頭に入ってないと、私のようにバルブ全損をさせます(^_-)(^_-)
ここでポイントとなるのが各バルブの開閉の長さです。
理論的には爆発下死点から排気上死点の間で排気バルブを開き、排気上死点から吸気下死点まで吸気バルブを開ければ良い訳です。
したがって理論値としては吸排気共に180°になります。
しかしこれは机上の空論であり実際にはこうはいきません。
実際はバルブを開けても実際にそこを空気が通過する為にはどうしても時間が必要になるからです。
回転数が上がると吸排気間隔が狭くなりバルブの開閉に対して空気の出入りがまったく間に合わなくなります。
従ってバルブの開閉角度はこれを見越し理論値の180°に対して多くする必要があります。
従ってノーマルのS20のカムの作用角は250°のようです。
しかしノーマルを上回る高回転域では益々吸排気時間が短くなりそのより長い間バルブを開けておく必要が出てきます。
したがってカムの作用角をより大きく広げるようです。
また同時にカム山の高さを高くしてバルブの突き出し量をより多くする事により、バルブシートとの隙間を広げ吸排気の抵抗を減少する対策も同時に実施するのが一般的です。
これら二つの対策をしたカムが俗に言うハイカムです。
highの意味は高い作用角とリフト量のカムシャフトと言う意味なんです。
この様に設定されたハイカムは高回転域において当然メリットがありますが、逆に低回転域においてデメリットを発生してしまいます。
それは増えてしまうオーバーラップの問題です。
作用角を増やしていくと排⇒吸気の切り替わり時の吸排気のどちらのバルブも開いている間が増加します。
作用角を最適に設定した回転域では問題が無いんですが、低回転時では折角吸入した混合気が圧縮される前に排気されてしまったり、排気が吸気側に流れ込んでしまいます。
これがカムの作用角を増やした時に発生する低回転域のパワーダウンやキャブレターへの吹き返しの原因となってしまいます。
従ってハイカムのこの辺の特性を十分理解して自分の仕様にあった選択が必要な訳です。
またもう一つ重要なセッティングがバルブタイミングです。
これはカムのエンジンへの組付け時の調整の事で、一般的にはカム山の頂点の位置がクランク角度の何処に設定するかです。
当然カムの作用角は固定されていますがこれを組付ける際にそのカムの頂点位置を変更する事により先ほどのオーバーラップの量を調整できる訳です。
特にDOHC(ツインカム)の場合吸排気毎にカムが別々にあるのでより微妙な調整ができます。
こんな所もOHC等と比べてチューニング素材としてメリットが大きい訳です。
レースマニュアルにもS20のタイミングの記載もあり310°のハイカムを組んだ場合のタイミングはIN/EX共に97°が奨励値のようです。
家のハコスカ君の現状実力や存在能力を知る為にはこれらカム作用角/リフト量やタイミングを調べる必要が有る訳です。
バルブタイミング等の測定ですがエンジン単品で実施する場合が多いようです。
その方が邪魔な物が少なくやり易いからです。
しかし今回はエンジンルームに搭載してやらなければいけないので色々工夫が必要になります。
まずは測定をする為にはクランクを回せるかです。
クランクにプーリーを固定する為に27mmのナットで固定してあるのでこれをラチェットレンチにて回そうと思いますが、その前面にはクーリングファンやラジエータがありますので結構ぎりぎりです。
ん〜かなり奥ばった所になっちゃいますが、とりあえずレンチが掛かりクランクが回せそうです。
続いてクランクの回転角度を読取る為の目盛りが必要になります。
これは一般的にはクランクプーリーの前面に円周定規を取付けて測定をしますが、取付けてもラジエータ等があって読取ったりはできそうもありません。
以前トレノ君の時にやったようにプーリーの円筒側面に目盛りを貼り付けるしかありません。
前回点火時期の測定時にプーリーの直径が150mmなのが判っているので円周を算出して目盛りを作ります。
最小目盛りは読み易さを考えて2°/Divとしました。
実際には印刷すると微妙に寸法が変わっちゃうので長さを数種類作ってみます。
これを切り抜きプーリーの外周の上死点のマーキングに合せて貼り付けます。
これでクランク角度の読み取りができます。
続いて測定するデジタルダイヤルゲージのセットを行います。
プラグコード/カムカバーを取外してダイヤルゲージのマグネットスタンドを取付ける位置を決めます。
ん〜ヘッドはアルミなのでマグネットは吸着しません。
先日タコ足取付け時にのエンジンフックが取り付けられないそうで外して合ったんですが、これをエンジンフロントあたりに取付ければちょうど良い感じです。
最後にクランクを回す際に当然圧縮工程があるのでプラグを全部外しておきます。
これで測定準備ができました。
まずはカムシャフトのプロフィールの測定を実施します。
インテークカムのベースサークル辺りにダイヤルゲージの先端を当て、クランク角毎の高さを測定します。
カムを1回転する為にクランクを2回転しなければいけないので、ちょっと大変です。
無事データ取りが完了しました。
Excelを使ってデータ解析を実施します。
横軸をクランク角、縦軸をカム高さとして散布図を作ってみます。
リフト量ですが9.62mmとなりノーマルの8mmをと比べても明らかな差があります。
続いて作用角ですが…良く判りません。
作用角の定義としてはベースサークル径に対してリフトが始まる位置のようですが単純にそれで読取ってしまうと±200以上で作用角400°ぐらいになっちゃいます。
これでは常識外れの数字です。
またバルブタイミングではリフター1mm沈み込み時のクランク角の中心と言う定義があるようですが、リフト量1mm部分で読取ると±100で作用角200°程度と今度は極端に小さくなっちゃいます。
S20のバルブクリアランスが0.3mm程度なのでこの辺で読取ると±150で作用角300°程度のようです。
感覚的にはこの辺の値かも知れません。
家のハコスカ君ですがバルブクリアランス調整の時ノーマルに比べるとかなり厚いシムを使用しなければいけない事よりノーマルベースの加工カムである事は推測されています。。
すが実際の値は何度とは言いきれない感じです。
また気になる点は別にあります。
ノーマルに比べてハイカムの場合リフト量/作用角増加と共にもう一つ工夫している所があります。
それはリフトのプロフィール(形状)です。
より吸排気効率を図る為に膨らんだ形状にして、より開き始め/終りの開度をより多くして効率を高める訳です。
以前のトレノ君の時にはノーマル/TRDハイカムの両方があり、一目でカムのプルファイルが違っていました。
感覚的に現状のハコスカ君のカムですが2T-Gのノーマルよりは明らかに膨らんでいるようには思えますがTRDのハイカムに比べるとそこまでのような感じがしません。
この辺はグラフの形状で表されているんですが、残念ながら2T-Gの時のこのデータは取ってなく比べる事ができません。
ん〜 データでもう少し分り易くならないかと工夫してみます。
横軸の目盛りを1/2にしてカム1回転相当のグラフを作ってみました。
ん〜 先ほどのクランク角に比べればイメージはし易くなりましたが、いまいちです。
写真で見比べてみます。。
2T-G TRD IN:304° | ハコスカ君現状 | 内田さんカットモデル |
やはりトレノ君の時に比べて頂点付近の形状はだいぶ尖がっている感じです。
また以前内田さんの所にお邪魔した際に展示してあったS20のカットモデル(勿体無い…)のカムの写真を撮影してあったので比べてみるとリフト量/作用角共に大きいように見えます。
ハコスカ君のハイカムはノーマルベースの加工カムと推測してますがベースサークルを削る事によりリフト量/作用角は大きくできますが形状までは理想的な形にはできないのかも知れません。
この辺がウイークポイントかも知れません…
いよいよバルブタイミングの測定です。
ダイヤルゲージの測定子をリフターの位置に当てなくてはいけませんが、どうしてもリフターの位置がカムの真下になるのでダイヤルゲージを垂直に当てようと思うと上手くいきません。
ラジコンの部品のジャンク箱をあさるとアンテナホルダーの板金部品が使えそうです。
ダイヤルゲージの先端部に取付けて見た所ちょうど良い感じです。
いよいよクラックを回して測定を開始します。
クランク角10°毎に回転させて行きカムの最大リフト点付近は5°ピッチでデータを取ります。
完了です。
早速Excelでのデータ解析を実施します。
まずは横軸をクランク角度±360の720°つまり4サイクルの爆発⇒排気⇒吸気⇒圧縮すべての状態でのリフターの沈み込み量を見てみます。
とりあえず理論通りのデータです。
-360°の爆発上死点から-180°付近から排気バルブが開き始め−90°付近で最も沈み込み量がMAXになります。
−20°付近から吸気バルブが開き始めて0°の吸排気上死点の段階では吸排気バルブ共に開いた状態となります。
その後吸気バルブが90°付近でMAXとなり360°の爆発上死点で4サイクルのすべての工程が終了します。
問題のバルブタイミングですが本来はリフターの最も沈み込みが最も大きい所ですがどうしても頂点付近のカーブがなだらかなので判り難いようです。
したがってリフターが1mm沈んだ所の中心をバルブタイミングと判断する方法が有るようです。
そんな読み方で判断すると下記内容となります。
1mmリフト | タイミングセンター | ||
EX排気 | Open | -210° | -93.5° |
Clause | 38° | ||
IN吸気 | Open | -16° | 94.5° |
Clause | 205° |
この方法は簡単にタイミングセンター測定する事ができ、調整前後等の変化量については問題なく判定ができます。
しかしこれが正確なセンター値かと言うとカム山の形状によっては誤差が発生してしまいます。
実はカムのプロフィールですがOpenとClause側では形状を変える場合があるからです。
従ってOpen/Clause側の1mmリフトの位置が対象で無い場合がある訳です。
そこでもう少し正確にセンター位置の判定をする工夫をします。
以前作成したExcelのデータシートにデータを入力してみます。
これは入力されたリフト量データから二次関数の近似値を算出しリフトセンターを算出するようにします。
当然Open/Clauseトータルでの近時曲線も出せますが一緒に算出してみるとデータと近時曲線が結構ずれてしまいます。
そこでOpen/Clause側を中心部分で別々にして近時曲線を書いてみると結構データと合致します。
そこでOpen/Clause側に振り分けてそれぞれの二次関数の近似値を算出し、その交点をセンターとしています。
これに今回のハコスカ君のデータを入力して見ます。
EX側のデータを入力してみましたがOpen/Clauseを一緒にて近似値を算出するとやはりデータとの合致が悪くなります。
最大リフト辺りでOpen/Clauseを分けて入力すると結構近時線との合致具合が良くなります。
やはりS20の場合もOpen/Clause側のプロフィールの違いが有るようです。
右図ではデータと近時曲線とのずれが見られますが、左図でOpenとClause側を分けるとよりデータが合致します、
この様にOpenとClauseとでデータを分けて最大リフト点の算出をして見ます。
最大リフト点 | 交点リフト点 | ||
EX排気 | 一体 | -96.6° | - |
Open | -98.4° | -97.9° |
|
Clause | -95.7° |
二次関数の同士の交点の解は二つ出てしまいますが、-95.0°が妥当な値と判断します。
同様にIN側についてもデータ入力をしてみます。
最大リフト点 | 交点リフト点 | ||
IN吸気 | 一体 | 99.2° | - |
Open | 99.2° | 94.6° |
|
Clause | 96.3° |
ん〜二次関数の交点の判定がいまいちです。
グラフを拡大しても交点がおかしな場所にいます。
場合によっては二次関数の交点は発生しない場合もあります・・・
仕方がないので先ほどのリフト量の中点での算出を実施してみます。
リフト量100μm(0.1mm)での角度を算出してみます。
二次関数を計算式を変換します
これをリフト量yからクランク角xを求める為にx=…の式に変換します…できない(^_-)(^_-)
学生時代でしたら難なくできるはずですが、さすがにうん十年の月日が経つとしっかり忘れています。
ネットでお勉強です。
お〜 ”乗法の公式”を使えば解けるようです。
そう言えばそんな事を勉強した記憶が僅かに残っています
これを使って式を変換します。
これで計算ができます。
Excelで計算式を入れて自動的に計算させます。
この項目を追加してみます。
最大リフト点 | 交点リフト点 | 1000μセンター | ||
EX排気 | 一体 | -96.6° | - | −96.8° |
Open | -98.4° | -97.9° |
||
Clause | -95.7° | |||
IN吸気 | 一体 | 99.2° | - | 96.3° |
Open | 99.2° | 94.6° |
||
Clause | 96.3° |
最終的に今回の測定でのバルブタイミングをこの様になりました。
値としてはノーマルの±100°に対してレースマニュアルでは±97°となっているので、ほぼこの辺に調整がされているみたいです。
最終的に現状のハコスカ君のカムシャフト/作用角の測定が終了しました。
測定結果を元にハコスカ君の可能性の考察をしてみたいと思います。
まずカムシャフトですが前回セミOH時点でもタペット調整シムが標準に対して大幅に厚い事より加工カムである事は判ってました。
今回の測定でオプション程度の作用角(300°弱)/リフト量(9.6mm)の様です。
しかし加工カムの為にかプロフィールが比較的大人しいようで超高回転域にて十分な働きをする可能性は低そうです。
バルブタイミングについてもレースマニュアルをベースにセットされているようですが、組合わせているカムを考えるとこれ以上のセッティングは難しいかと思います…
何か絶望的な結論のようにも見えますが、私自身はそんなには気にしてません。
明らかにエンジンの性格として超高回転仕様とは言いがたいんですが、それでもノーマルを上回る8000rpm辺りでカタログデータの160馬力台のピークパワーを叩出しておりと40年近い時を過ごしたハコスカ君としては十二分の実力はあるのではと思います。
また一般的には高回転域のパワーと引き換えとしての低回転域のフィーリング悪化が懸念されますが3000〜7000rpmの領域においてフラットなトルク特性も兼ね備えており、街乗りでもまったく問題ありません。
燃費も街乗りで7km/lと、この特性を裏付けているのではと思います。
以前誰がいじったのかは判りませんが結構バランスを考えて組んだんじゃないかと思います。
将来的にはヘッド周りの調査を兼ねて全バラもしてみたいとは思いますが、それまではS20のフィーリングをそれなりに楽しめそうです。
今回は貴重なデータの開示/アドバイス等NOBUさんに大変感謝です。
これからもよろしくお願いします。
因みにタイミングシートとその使い方は第8話 バルブタイミングの実践2を参考にして下さい。
質問等がありましたらメール等下さい。