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第17話 ギア比のお話し N350編

僅か360ccのエンジンでがんばって走っているNですが、実は色々考えて作られているようです。

今回はその非力なパワーを有効に活用する為のギア比については考察をしてみたいと思います。

○現状調査

のエンジンは当時の軽自動車としてはかなりのハイパワーを叩き出したんですが、その走りを支えるミッションの働きは重要です。
一般的な4速ミッションですが、限られたエンジンパワーを出来るだけ有効に利用しています。
まずはノーマルのギア比シュミレーションをして見ます。


シュミレーションの前提条件としてはこんな感じです

タイヤ/ホイール 145SR10 ラジアル
エンジンのパワーバンド 4000〜8000rpm

パワーバンドの下限3000rpmぐらいでも回らない事は無いんですが360ccの小排気量の為4000rpm程は回っていて欲しい所です。
走り出したNは6000rpm程でシフトアップをしていきます。
この辺りまで回せばシフトアップ後も4000rpmを下回らずパワーに乗った加速披露してくれます。
3速で40km/h辺りで周りの流れにも乗ったので、4速にシフトアップをします。
ん〜 しかしこの時加速してくれません…
4速にシフトアップしちゃう回転が3000rpmまで下がってしまいエンジンのパワーバンドを大きく下回ってしまう為です。
一旦3速に落として6000rpmまで引っ張って50km/h程になれば4速4000rpmKeepできます。
ん〜 ちょっと市街地走行にはマッチしていない感じです…何故でしょう?
の生まれた昭和37年はまだ戦後17年ほどしか経っていません。
太平洋戦争により焼け野原となった日本も徐々に復興し、やっと高速道路が出来始めた頃です。
幹線道路はアスファルト舗装がされていましたが、普通の道はまだまだでした。
未舗装の道は轍や凸凹ができて自動車も今ほどのスピードは出せなかったんじゃないかと思います。
平均速度は30km/hほどで、その為自動車のギア比も今のとは考え方が違ったんでしょう
の場合直結のギア比1.003速です。
つまり普通に市街地を走る時には3速を常用していたんじゃないかと思います。
3速ギア守備範囲は35〜69km/h40km/hがパワーバンドの下限辺りと合致します。
きっと未舗装に轍や凸凹の道トコトコ駆け抜けていたんですね。
しかしアスファルト舗装をされた道に出れば4速ギアにシフトアップしアクセルを踏めば一気に超高速領域(と言っても100km/hぐらいですが)にを誘ってくれたんでしょう。
つまり当時の交通事情の合わせていたので、現在の事情ではローギアードに感じてしまうんでしょう。

決して走れない訳では有りませんが、違和感を感じるのも確かです。

○ギヤ比 変更

の場合ギア比を決定しているのにミッションデフ以外にもう一つあります。
どうやらエンジン回転を一旦チェーンを使った減速機能があるようです。
従ってこのギアの歯数を変更する事によりギア比全体を変更できるみたいです。
試しにこれを変更した場合をシュミレーションして見ます。

プライマリーギアをノーマルの16Tから20Tに変更した場合です。
それに伴い最終減速比が9.96から7.97へとハイギヤード化されます。
従って4速の守備範囲67〜133km/h完璧に市街地では使えないようなオーバードライブギアになります。
逆に3速での50km/hの回転数6000⇒4500pm辺りに落ちますので市街地は3速でいけるのではと思います。
しかし市街地常時3速で走行と言うのも違和感があります。
本来このハイギヤード化レース等エンジンキャパシティ(排気量)UPに伴い最高速を稼ぐ為の対応です。
従って今回のように市街地走行の対策とはちょっと違うのかも知れませんね。

・なんと5速化…でも部品が

やはり抜本的にはミッションの対策が必要です。
1〜4速市街地〜高速走行までをカバーするには最適ではないようでが、Nシリーズ最終版のNVを含めてミッションについては1種類しかありません…
しかし同じエンジンを搭載したホンダZには標準では同じミッションでしたが唯一GSモデルには5速ミッション搭載されました。
エンジンも同じなので当然流用が可能ではと思います。
シュミレーションして見ます。

Zの5速Nの4速と同じギア比1〜3速の間が4段となっているようです。
市街地走行の40〜50km/h辺り4速ギアで4〜5000rpmばっちりの感じです。
当然段数が多いだけに各ギアのオーバーラップも大きく、ある意味クロスミッションのような感じかも知れません。。
しかしホンダ Z GSは当然最上級モデルと言う事であまり多くの台数が販売されなかったようで、現在はほとんど手に入らないみたいです。
ん〜 何処かに無いかな…

★ Nの本来のポテンシャル

この記事を書いている最中でしたがキャブレターのメンテナンスをしました。
入手以降高回転は非常に気持ちよく回るNのエンジンですが、低回転でのレスポンスいまいちと思ってました。
空ぶかしでは良いんですが負荷を掛けた状態で2000〜4000rpm辺りでアクセルを踏み込んでも、一瞬息を付く感じで吹き上がりません。
排気量が360ccと言う事でトルク不足原因かと思ってました。
しかしキャブレターベンチュリー部分カーボン除去とオイル塗布を行った所、劇的に良くなりました。
どうやら低回転時の吸入流量が少ない場合ベンチューリーがスムーズに動かず適切な燃料供給が出来ていなかったみたいです。
したがってこの辺の回転域のレスポンスが異常に悪く感じたのでしょう。
メンテ後は4速2500rpm辺りからもそれなりにスムーズに吹き上がり市街地走行のフィーリングが一変しました。
使えなかった4速にて十分走行が可能です。
シュミレーション上はこんな感じです。

ギア比設定がいまいちと思われたですが、結果としてはエンジンの調整不足のようでした。
キャブレタ調整/点火系の見直し未実施ですから、本来のポテンシャルはまだまだ見極めれていないのかも知れませんね(^_^)/~

楽しみは続きます。




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